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タルタロスで仲良くして頂いている友人の誕生祝用に書かせて頂きました
初のバルロト作品になります。

最初は絵だけの予定でしたが、これだけだと訳が分からないよ…と思いお話を入れさせていただきました…が
そのせいで誕生日を約1か月近く過ぎてしまったこと、深くお詫び申し上げます。

口調に迷ったり、色々考えすぎて少し変になってしまっている部分もありますが
心だけはしっかり込めて描かせていただきました。
余り此処で書くとお話ネタバレになってしまうので言えませんが
お話上どうしても躍らせたい!というのがあったため、それが主軸となっています
そのため、こんなのシュバルマンさん違う!とか
ロトさんはこんなこと言わない…等ありましたらごめんなさいと先に謝らせていただきます。


以下は軽い注意書きです

・この作品はバルロトとなります。
・エンディング後のお話となるためネタバレ注意です
・エンディング後のお話を想像した妄想話です。ねつ造設定もありますのでご注意を
・にゃんにゃん描写はありませんが、ちゅーまではしていますので苦手な方はご注意ください。
・バルロトを意識して書きましたが、精神面では若干ロト様のほうが強いかもしれません。
・みんな幸せになればいいのにがコンセプトのため、都合よすぎだろ!と突っ込みたくなるシーンがある可能性があります。
・何故かバルロトが踊っています
・注意はしましたので読んでからの批判は受け付けません。
「お兄さんは、あのお城の人?」
「えぇ、そうですよ。」

……久しぶりに、子供の頃の夢を見た。
今はもう顔すら思い出せないあの人の眼差しが心に引っかかり、シュバルマンは一つ小さく息を吐いた。
あの日、タルタロス結界陣を抜け旅立った仲間を見送り……その後、友との約束を果たすため…あの苦しい記憶を振り切るようにして出てきたけれど…
はぁ…とまた一つため息がこぼれる。
確かに、治癒の石の力によりクインシーの体はよくなった…しかし、いまだにクロモドが見つかった言う知らせは入ってこない…

いい加減起きようと体を起こしたその時、扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「あ、すみません…!ちょっと待ってください」
慌てて服を着替え、体裁を整えた後「お待たせしました」と扉を開けると、そこには一人の術法師が伝令の紙を大事そうに抱えて立っていた。

「…何かありましたか?」
わざわざ自分を探し出してまで届ける知らせ…それは良い知らせか、悪い知らせか…
どきどきと高鳴る胸を落ち着かせながら問いかけると、その術法師は笑顔で伝令をシュバルマンに差し出した。
「よい知らせですよ。つきましては…一度大殿堂にお戻りいただければ嬉しいのですが…」
巻かれていた紙を広げ開いた書状に書かれる文字は、かつて仲間であった彼の性格を表すように綺麗に揃った文字だった。
「…!クロモドとソーマが帰ってきたのか!?」
手にした紙を握りしめ思わず叫ぶと、まだうとうとしていたらしいアルポンスの目がぱちりと開き「わんわん!!」と嬉しげに鳴きながらシュバルマンの手元の紙に手を伸ばした。
「うわっ…!?とと…そうか、良かったなアルポンス」
嬉しげにきゅんきゅんと鳴いているアルポンスの頭を軽く撫で、使いの術法師に軽く一礼する。
「ご連絡、ありがとうございます。本当に…無事でよかった…」


昨夜、タルタロス結界陣を越え、マナルス山に3人の来訪者が訪れた。
一人はあの戦いの後行方不明となっていたクロモド。そして残りの2人は…
「そうか……ヒルベルトの弟子か…大きくなったものだのぅ」
長く白い髭を蓄えた老人がどこか懐かしげに眼を細める。
「それではあなた方がクロモドさんを…」
タルタロス結界陣を展開する戦いにおいて、自身の師であるヒルベルトを討った神エピル…その傍らに佇む青い髪の少年に目線を向けると、やや気まずそうな笑顔で返された。
「ひとまず、仲間を救ってくれたことには感謝します。しかし、何故封印された筈のあなたがこちらに?」
神々が結界を破ったというのなら、今頃地上はかつての様に神々からの脅威に晒されてしまっているはずだ。しかし、今の所タルタロス結界陣の輝きは失われておらず、その兆候も見られていない。
「それについては僕からお話します」
かつて遠征隊で共に過ごした仲間の一人であるソーマ。彼が戻ってきた事も喜ばしいはずなのだが…
神界に向かった3人の内村に戻ったピンコへはすぐに、旅に出てナシプの魂の救済をしているというナギは探索に少し時間がかかったが連絡が取れた。
ただ一人連絡が取れなかったソーマは、同族同士のいさかいを起こしたペナルティとして、主人であるエピルのエリシウムにて謹慎を受けていたようだ。
「オボロスがあれば、天界と地上を自由に行き来することが出来る…僕はオボロスをこの身に取り込むことで、天界と地上を繋ぐよう言われていました。しかし…」
「この子は人が好きだと言ったのじゃよ」
ぽふり、とソーマの頭へ手を置きエピルがほほ笑んだ。
「喧嘩に関しては両成敗せざるを得なかったがの…その分沢山話をする事が出来たのはよかったのかもしれんのぅ」
おかげで、ぺリオの連絡を受け魔法師の青年も見つけることができた訳じゃ。と楽しげに笑うエピルにアエルロトは内心複雑な心境を抱いていた。
何気なく話しているようではあるが、これは慎重に扱わざるを得ない事案だ…
「アエルロトさん・・」
「なんでしょうか?」
そっとささやかれた言葉にそちらを向くと、青い髪の少年はにっこりと笑った。
「信じさせてくださいね。」


術法師の大殿堂、マナルス山…あれからまだいくばくも立っていない筈なのに、もう何年も月日がたっているかのような感覚を覚えた。
比較的近場で連絡を受けた自分以外のメンバーはまだ此処へ到着しておらず、今回のメインとなるであろうクロモドも、消耗していた体力を戻すためしばし療養が必要だと言われてしまいまだ会わせてもらえじまいだ。
通された部屋でシュバルマンは一人ソファへ横になった。
「せめて一目会えれば嬉しいんだが…」
ふぅ…とため息をついて軽く目を閉じる。
・・・・・・
「お兄さんは、あのお城の人?」
「えぇ、そうですよ。…そういえば、まだ君の名前を聞いていませんでしたね」
「あ、ごめんなさい。僕はシュバルマンです。お兄さんのお名前は?」



「…ありがとうございます、では本日はこの辺で…また後日お二方にはお話を聞くこととなりますが、宜しくお願いしますね。」
かたん、と椅子を引いて席を立ち、2人が退室するのを見送る。
「お疲れかしら?」
たおやかに微笑んでディオネがこちらを見つめる。
「ハハ…そうですね、私も一度外の空気を吸ってきます、流石に少し疲れました。」
部屋を出ると周りの木々を揺らしながら冷たい風が緩やかに駆け抜けた。
「最近は日が落ちるのが早くなりましたね…」
空を見上げるとオーロラの様に緩やかに揺らめきながら回るタルタロス結界陣を彩るように星がキラキラと輝いているのが見えた。
なるほど、確かにあの日ピンコが勿体ないといった気持もわかる気がする。
「おや…?」
かさり、と草を踏みしめる音にそちらを向くと一瞬ふわりと赤い髪が見えたような気がした。
「……シュバルマンさん…ですか?」
先ほど姿が消えた方に向かって歩を進める。
かさり
再び音を立てて先に見える梢が揺れ、人影が森の奥へ向かうのが見えた。
「おかしいですね…」
確かにシュバルマンは今この大殿堂に戻ってきてはいるが、彼は目的もなく余りうろうろするような性格ではないし、今見た影は彼よりずっと小さく見えた。
もしかしたら先にあの2人を送り込む事で、気がそれたこちらへ神族が仕掛けた何らかの罠の可能性もある…
「気になりますね」
注意を払いつつ、さらに先へと歩を進める。
しかし、アエルロトにはあの影がどうしても彼と無関係だとは思えなかった。
それに、もしかして本当に彼であった場合…
「会いたいです…シュバルマンさん」
たとえ、あの日の様に…また背を向けられてしまうことがあったとしても…
ぽつりとつぶやき、目の前に広がる木の枝をどけると、そこには
「そこで、何をしているのですか?」
アエルロトの声に赤い髪をさらりと揺らし一人の子供が振り返った。
「踊りの練習だよ!」
くるりと片足で落ち葉を踏んで回りながら赤髪の少年が首をかしげる。
多少トーンが高いがその声や、目の色、表情やしぐさはかつて仲間であった赤髪の騎士を思わせた。
今は連絡を受け、こちらに戻ってきているはずだがまだ自分は会っていない…
「踊りが好きなのですか?」
「ううん、でも少しぐらい踊れないといけないんだって。いざという時に困るから…えっと…しんしとしてのたしなみ…?なんだって」
赤く色付いた葉がひらひらと落ちる中、腕を何もない空間に彷徨わせながら、不器用にリズムをとる少年の踊りは以前追憶の塔で以前シュバルマンがイリシアと踊っていた光景を思い出させ、その小さな掌にそっと自分の手を重ねた。
「…もう少し、肩の力を抜いてみましょう。その方が自然に腕を動かせますから」
「う…うん。こう?」
「えぇ、随分自然になりましたよ」
静かな森に二人の足音が軽く、強く響き渡る。
くるりと回りながら揺れる赤髪を眺める…自分はこの子に彼の面影を重ねているのだろうか。あの日、祭りの日に彼と踊った彼女の姿に自分を重ねているのだろうか…それとも、あの日彼の心を連れて行ってしまった彼女に変わりたいと思っているのだろうか…
まだまだぎこちなさは残るものの、のみこみは悪くないらしく、次第にリードするアエルロトの動きに付いて来られるようになってきたようだ。
アッサンブレの合図と共に綺麗に足を揃えてきた彼の髪を片手で軽く撫ぜてやる。さらりと指をすり抜ける赤い髪はやはりあの人を連想させた。

アッサンブレ

「お兄さんは、あのお城の人?」
「えぇ、そうですよ。…そういえば、まだ君の名前を聞いていませんでしたね」
「あ、ごめんなさい。僕はシュバルマンです。お兄さんのお名前は?」

いつの間にか日は沈み月が周りの木々をうすぼんやりと映し出していた。
「…私は…」
…何と答えればよいのだろう。
逆光で自分の表情は彼に見えてはいないのが救いだった。
「…お兄さん?」
「……失礼…そろそろ夜も更けてきたようだし、君を返しませんと…心配している人もいるのではないですか?」
「え、うん…」
シュバルマンは一瞬不可解そうに眉を潜めたが、すぐに笑顔でもう一度だけ踊ったら帰る。とアエルロトに告げた。
恐らく心根の優しい彼の事だ、何か聞いてはいけない事なら無理に聞かないでおこうと思ってくれたのだろう。
ふわりと手を広げ、互いの手を重ね、ステップを揃え…緩やかに踊る。
「ねぇお兄さん知ってる?」
手をふわりと伸ばし広げながらシュバルマンが微笑んだ
「踊りでこうして手を広げるこれは、翼なんだって」
「翼、ですか?」
「うん、力強く羽ばたいて巣立つための翼。だから、自由に伸びやかに踊れるんだって」
「そうでしたか…うまく羽ばたいて行けるといいですね」
これから彼には幾多の困難が…悲しみが押し寄せる事だろう。
それを考えるとどこか胸が苦しく、行かせたくない思いが募る。
「お兄さん」
「なんですか?」
「また、僕と踊ってくれる?」
「そうですね…あなたがそう望むなら、いつでもお相手させて頂きますよ。」
「うん!約束だよ!」
満足そうな笑みを浮かべシュバルマンがその身を離す。
「また逢えたら、その時は笑ってね。」
小さな手を振り、シュバルマンの姿が木立に消える。
「また逢えたら…ですか」
きっと、その時彼の隣にいるのは自分ではない。
あの祭りの日の光景が再び目に蘇り軽くため息をついたその時、彼が消えていった木立が再びがさがさと音を立て、赤い髪が視界に入った。
「おや…どうしま……」
「アエルロ…いや、アリエス様…?」
「シュバルマンさん!?」


懐かしい夢を見た…小さい頃、だれかが手を取り踊ってくれた。
その人はどこか悲しそうで、俺は守ってあげたいと感じていた。
その人はどこかイリシアさんに似ていた気がした。初めはイリシアさんとあの人の影を重ねたこともあったが、あの祭りの夜にそれは違うと確信していた。
あの時の約束は、まだ…果たせていない。
「ん…」
うっかりソファーで寝てしまっていたらしい、軋む体をぐっと伸ばして窓の外を眺める。
外はもうこぼれるような星空で…そういえば、あの人と約束をした日もこんな風に月が木を照らしていて…その光が作った陰で、あの人の顔がよく思い出せなくなっていたんだ。
「少し、外の風に当たってくるかな」
この窓から逆の方角にはイリシアさんが眠る聖堂が見える。
しかし今はそちらを見たくなかった。もう少し…あと少しだけ、夢の面影を追い求め、シュバルマンの足は自然と森の奥へと歩を進めた。
どこかで見たことのある木々の木立にデジャヴを感じながらも歩を進めると、少し開けた場所にあの人の姿を目に捉え思わず立ち止まる。
黒い髪を月明かりに揺らし佇む姿、あの日と変わらぬどこか悲しげで抱きしめたくなるあの人…
こちらに気が付いたあの人が顔を上げる。
「おや…どうしま……」
俺に声をかけかけたあの人は、目が合った瞬間その言葉を詰まらせた。
俺は、この人物を知っている。
「アエルロ…いや、アリエス様…?」
「シュバルマンさん!?」
どうしてここに?とでもいうように少し目を大きくしてこちらを眺める表情は普段のポーカーフェイスと違い、年相応の表情に見えた。
「少し、夕涼みに来ただけです。お邪魔してしまったのなら申し訳ありませんでした。」
「そうですか、風も強くなってきましたし冷えないようにして下さいね。」
にこりと、よく知る表情で先ほどの顔はすぐに隠され、何気ない言葉を互いに交わす。
そうだこの人は、かつて仲間であったけれどタルタロス結界陣を作った大術法師の一人で、アリエス様と呼ぶべき人で……アエルロトという人物はどこにも居なかったのだ。
だからたとえ、如何にあの人の面影が重なろうとも、互いの立場を超えることは許されない。けじめはしっかりつけなければならない。
「…約束をしていたのですよ」
くるりとシュバルマンへ背を向けアリエルが月を仰ぎ見る。
風がふわりとマントを揺らし空の星が映り込むかのようにキラキラと輝いて、遠いあの日…そして夢の中でも見えなかった素顔が浮き彫りとなる。
「いつか会えたら、また一緒に踊ろうと」
どこか悲しげに伏せられた瞳と、笑顔を崩すまいと笑みの形に引締められた口元。
…あの約束をしたのはあの人に笑顔を見せてほしいという思いからだった。こんな表情をさせたかったわけじゃない。
「…アリエル様…」
口にした名前を拒むかのように、自分へ背を向け続けるあの人へそっと手を伸ばす。
「一緒に踊って頂けますか?」
これはきっと、危険な行為だ。
そう頭では分かっていても、手を差し伸べずにはいられなかった。


互いの手を重ね、肘をゆっくりと伸ばす。
足を上げれば、再び足元の葉が動きに合せひらりと舞い上がった。
「…余り上手くは踊れませんが」
「いえ、ちゃんと上達していますよ」
小さな頃のあなたより。祭りの日のあなたより…
アリエルの体を支えるようにシュバルマンの腕が自然に回され、その動きに合わせながら体の重点を移動し、アンオーからゆったりと腕を広げて体を起こす。
「踊りでこうして手を広げるこれは、翼なのだそうです」
「えぇ、巣立つための翼…でしたよね」
「はい、力強く羽ばたき、巣立つための翼…そして、本当の自分に戻るための翼です」
「本当の自分、ですか?」
一瞬だけ互いの手が離れ、ゆったりと羽ばたき、寄り添うようにまた重ねられる。
「遠征隊として、共に旅をしていた時間は終わりました。それは、皆がそれぞれの道を進みだしたという事です。」
「…それでも仲間であったという事実は変わらないのではないですか?」
体を密着させ静かに姿勢を低くする
「そうですね、しかし貴方は再び大術法師として此処に残り、俺は守るべき約束を果たすために旅立ちました。」
「シュバルマンさん…全てを一人で背負わなくとも良い筈です。私だけじゃない。あなたのことを思う人は沢山いるのですから。勿論、イリシアさんの事だって皆心配しているではありませんか」
「わかっています!…ただの我儘なのだと分かっているのです。けど俺は…イリシアさんを守ると約束をしておきながら…!俺はそれを果たせなかった」
ぐっ、と支えのため腰に回した腕を引き、叫びと共に強く抱きしめる。
「…シュバルマンさん。この踊りにはもう一つ意味があることを知っていますか?」
そっと優しく、あやすように赤い髪を撫でつける。
正直自分は、シュバルマンが自分の名を呼んでくれなかった事が悲しくてならなかった。多少なりも偽っていた事実を認めはすれども、あの旅で培った絆がそれっぽっちのものであったと言われているような気がして苦しかった。
しかし、彼の思いを考えれば、それは仕方がない事だったのかもしれない。
「現実を認め、抗う事は大きな痛みを伴います。しかし、人はその先を信じて羽ばたき続けなくてはいけません。」
それまでの日々が大切で、大事な時間であればあるほどそちらを振り向いてしまうのだろう。翼を広げることが難しくなってしまうのだろう。
それを認めたくないからこそ、彼は彼女を助けようとすることで自分を保とうとしていたのだろう。
「この踊りのモチーフは、希望というのですよ」
彼女が目覚めるまで…自分が幸せになってはいけないと考えているこの真面目で不器用な男を心から愛おしく思う。
願わくば、少しでも彼の心が癒されるよう、撫でつけた髪先へそっと…祈るように唇を落とした。


どれだけこうしていただろう、ゆっくりと体を起こしたシュバルマンがアリエルの手を引きながらつぶやいた
「…俺は、此処に戻って思い知ったことがあります」
「なにをでしょうか?」
シュバルマンに引かれるまま立ち上がり、リードを彼に移し再び地面を踏みしめる。
「俺は、旅に出る事で…皆と道を分かつ事で先に進んだつもりになっていました。けど本当は、俺はあの旅を終わらせたくはなかった。皆と一緒に居たかったんです…」
「それはきっと、シュバルマンさんだけではありませんよ。あの時の仲間は皆…心の何処かでそう思っているのではないでしょうか。私だってそうです…」
ポアントで目線を近付けて、手のひらでシュバルマンの顔をそっと包み込む。
「けど、私はもう立ち止まるつもりはありません。やることが沢山ありますからね。それにきっと、希望はありますよ、シュバルマンさん」
「あぁ、ありがとう。思えば何時もこうして見守ってくれていたんだな」
「ハハ…それはお互い様というものです。それに、問題ありませんよ。だって私は……あなたの事が大好きなのですから」
勇気を出し、愛しさを込めた言葉のつもりだったが、シュバルマンは何故か苦しげな表情を見せ、思い切るように息を吸い込んだ。
何か気に障ってしまったのだろうか。やはり好きだという言葉は避けるべきだったのか…そう悩むアリエルを真面目な顔をした彼の瞳がまっすぐと見据えた。
「おかしいかもしれないな…今までずっと、約束を守れなかったことを悔やんできた…けど今は、希望があると思えてくる。こんな事、今言うべきじゃないのかもしれない。けど…何時も見守っていてくれてありがとう…子供の頃からずっと言いたかった。大好きです。アリエル…あなたは、俺の希望だ」
「シュバルマンさん…」
踊りの中何度も吐息が触れるほど近付いたが、それまで触れることのなかった唇がそっと重ね合わされる。
期待、してもいいのだろうか自惚れてもいいのだろうか。拒まれないことを、拒否されないことを。
長い口付の後、再び交えた視線にはもう、どちらにも迷いの色はなかった。
「…ありがとう…アリエル。俺の初恋の人」
「どういたしまして」
くすり、と笑みを漏らして再びどちらからともなく踊り出す。希望を求め、繰り返し。何度も、何度も…


「すみません」と声をかけられディオネが振り返ると、先ほど席を共にしていた青い髪の少年が少し慌てたように駆け寄ってきた。
「どうかしましたか?アリエルでしたら少し外に出ていますが…」
「いえ、少々話忘れたことがありまして」
ハハハ…と苦笑いを漏らしながらこちらを見上げるソーマに笑顔で続きを促してやる。
「大規模なものではないのですぐに収まるとは思いますが…実は、僕らが結界陣を抜けた際に少し、時空列に乱れが生じたみたいなのでご報告しようかと…」
「乱れ・・ですか?」
「はい、ここの所相次いで結界を出入りする者が多かったために歪みが生じたようです。」
「そうですか…」
ふ…とディオネの視線が外で手を取り合う二人を見て細められた。
「良い方向へと向かったようですし、よしとしましょう。」

約束はここに果された。
自分自身を認めることで、再び時は動きだし彼らは翼を得た。
出来ればどうかその先が希望で溢れるものであらん事を。




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あとがき
大変お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
初バルロト…と言えるのかやや不安な感じになってしまいましたが
初めてなのだからもう少し緩やかに書けばよかったかなと思いつつ、どうしても躍らせたくてこうなってしまいました。
(パッと見というか精神的にはロトさんの方が上になってしまったのも申し訳なく)

目標としてはエンディング後の流れをくみつつ、皆に幸せになってほしい。というのが一つ。
そしてもう一つはシュバルマンさんがロトさんを「大術法師様」や「アリエル様」と呼ぶようになった理由で、今後この呼び方が拒否からではなく、本当の彼を受け入れたいから。という意味で「アリエル」と名前を呼んでほしい。
…というところがあり、色々無理やり気味な部分もありますが、そんな気持ちを込めつつ、今後希望を持って進んでいけるように頑張ってみたつもりです。

また、流れがうまく作れなかったため、作中では触れられませんでしたが、エルピントス&ルコはエンディング通り術法師達と円満な友好関係を結びつつ、ウィルロト城主たちと共にいまだ混乱がある地域を見回りながら仲良く一緒に居ます。
きっとプライベートではお姉ちゃん、ルコと呼び合って、長かったツン期を過ぎデレ期に入ったシャルロットに焼きもちを焼かれていればいいなとか。
このお話し中では連絡はついたけどまだ来てないよ!な扱いになっていました。

また、イリシアさんの方ですが…これは本当は入れたかった部分で、シュバルマンより少し遅れて母親と共に到着したピンコが、イリシアさんの元へ行き。旅の間お世話になっていたと母親に話した後、こらえきれずに泣き出して、その声でイリシアさんが目覚める。という構想があったりしました。
さりげなく今回書いた、自分を受け止める事はイリシアさんにもやりたかった部分なので書けなかったのが悔やまれます。
個人的にみていた感じでは、イリシアさんはピンコに対し特に深い愛情を感じていたようですし、ピンコもイリシアさんの事が大好きだったので、できればこの二人の繋がりで目覚めてほしい気がします。

後はさらっと書きましたがクロモドさん大好きです…(ぐ
彼は生死不明状態になっていますが、ぺリオさんが探しに行ってくれましたし…自分はあのシーンは神様を自分ごと異空間に封印!的な解釈をしてみていたので、ぺリオが見つけてモドさんを救済後、謹慎期間が解けたスペルノさんに譲り渡す。的なイメージで考えてみました。この後ポンスと一緒に帰ってクインシーに泣かれればいいよ!
ソーマは大体上で書いた通りのイメージで、エピル神=おじいちゃん ソーマ&リリオペ=孫 エピルさんはめっさ孫バカでいいよ!!孫バカ!部下バカ…?
とか思っています。バルガスさんもおじいちゃんにとってはきっとお子様(うちの子の同級生)とか…そんなイメージ
なんて妄想もやもやです。
僕は。ハッピーエンドが好きだ…!(カッ
と言う訳で、此処まで読んで下さりありがとうございました。
タルタロスは終わってしまいますが…思い出は残ります…!
わたさんにとってこれから一年が良いものになりますよう、お祈りさせていただきますなぁん!





最後にちらっと用語解説を…
アッサンブレ=集める、集合。 片足で踏み切って、空中で寄せて両足で下ります
アンオー=両肘を軽く曲げ、両手を上げたポジション
ポアント=尖端、切っ先の意。つま先で立つイメージです
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